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人とコトの間の生活におけるインタフェースの観点から、安全・安心・快適な社会の構築を目指す「生活支援工学」分野の技術に関して研究しています。

高齢者・障害者の自立生活を促進するインタフェース・支援技術

高齢者・障害者を対象としたモビリティにおける安全性や快適性、ユーザビリティの機能向上を目指し、残存機能の特徴を客観的に捉え、それらの特徴を考慮したインタフェースを開発しています。この研究では、各個人がもつ「できる機能」の拡張を、健康維持のモチベーションに繋げます。その上で、ユーザの身体機能と自己調整能力を移動時の協調学習系として捉え、特性変化に適合できる知能化された移動システムを設計し、システムの試作と実フィールドにおける試験を繰り返すことにより、人間・機械系として安全な協調制御システムの開発に取り組んでいます。

適応型知能化モビリティ技術

高精度地図に頼らずにカメラによる画像認識で自律移動を実現するため、人が走行環境に適応・調和する際の行動・知識を学習し、人が様々な走行環境(幾何・構造変化、インフラ情報、対人、対モビリティ)に適応する行動とその行動に対する走行環境の変化を確率的な遷移表現として捉えることにより、自律移動に必要な予測・認識システムを構築し、その特性に応じた走路計画と障害物との衝突を防ぐ安全補償機能により実現できる自律移動システムを構築しています。構築したシステムは、試作機の製作と実フィールドにおける検証を行い、病院や空港、ショッピングモール等の大規模施設内の自律移動車いすや、配送ロボット、地方地域における未舗装路を含むラストワンマイル・モビリティの実装に展開しています。また、安価・安全・安心に移動するため、サイバーフィジカルシステムとして、インフラ協調やクラウド連携といったデータ駆動型の機能も付加し、研究を進めています。

健康状態・加齢に伴い変化する行動特徴抽出と特徴に基づく人間機械協調システム

熟練オペレータの技量伝承と高齢ドライバの事故対策に資する支援方策の構築を目指し、加齢により変化する身体機能や認知機能と、その機能を補償する経験や知識を構造化し、不安全性の高い行動に繋がるクリティカルな変数を明確にすることにより、人間機械協調系に関する支援システムを構築します。具体的には、非熟練オペレータのリアルタイム技能習得システムや、機能低下時の不安全性の高い運転行動を抑止するシステム等を構築しています。この研究の成果は、高齢化が進む熟練オペレータの技量伝承に貢献するとともに、健常高齢ドライバの行動特徴と脳機能を含む心身機能の突合せにより、医工連携の取組みとして新しい病態発見の検討にも貢献しています。

生体・行動情報を用いた製品の快適設計

人がモノ・システムを使用する際のユーザビリティの研究領域において、ユーザの心身機能とその変化を客観的に評価する指標提案やシステム構築を行っています。この研究では、製品やシステムの設計時の快適性に資する要素の抽出を目指しています。快適性の設計を、ユーザの状態や経験・知識に基づく感性を評価する「快」の設計と、人の機能を解剖学的に理解・評価する「適」の設計と捉え、行動・操作時の身体的負担や生体情報などの定量化を行い、製品開発の設計を支援するシステムや快適な自律移動を実現するシステムなどを開発しています。具体的な製品開発として、自動車のボディやシート、浴槽やトイレの空間、飲料のペットボトル、化粧道具等の設計に活かされ、商品化にも繋がっています。